おとうさんたちがいたときのように炉に火をたきました


おかあさんの言った粉のことを思い出して戸棚とだなをあけて見ますと、なかには、袋に入れたそば粉やこならの実がまだたくさんはいっていました。ブドリはネリをゆり起こして二人でその粉をなめ、おとうさんたちがいたときのように炉に火をたきました。  それから、二十日はつかばかりぼんやり過ぎましたら、ある日戸口で、 「今日は、だれかいるかね。」と言うものがありました。おとうさんが帰って来たのかと思って、ブドリがはね出して見ますと、それは籠かごをしょった目の鋭い男でした。その男は籠の中から丸い餅もちをとり出してぽんと投げながら言いました。(青空文庫:グスコーブドリの伝記)

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